ヘンズツウ部

見えない「痛み」を我慢しない働きやすい職場を目指して

日本イーライリリーでは、多様な背景をもった人々がそれぞれに豊かな生活を送れることを目指した「 Live your best life 」という取り組みを推進しています。 その取り組みの一環として、仕事・生活にも大きな影響がある一方、重い痛みが周囲に理解されず、誤解が多いという課題がある30~40代の女性に多い片頭痛を取り上げ、社員が能力を発揮し働きやすい職場づくりを目指し、職場環境の改善を自発的に推進する「ヘンズツウ部」を発足しました。

片頭痛を学び、アクションする

■KICK OFF

ヘンズツウ部のメンバーは、片頭痛の症状がある社員、片頭痛の症状がある人が身近にいる社員、片頭痛に興味がある社員に呼び掛け、自ら「入部表明」をした有志で構成されています。最初にワークショップ形式で、それぞれの経験を共有すると共に、職場の課題と目指したい職場環境を話し合いました。続いてランチタイムを利用したオンラインセミナーを行い、片頭痛の疾患特性について学ぶ時間を持ちました。セミナーでは、オンライン投票機能を活用し、片頭痛の痛みや生活への影響について、片頭痛がある人・ない人の認識のギャップを学ぶ機会も持ちました。

■イベント

ヘンズツウ部の外部サポーターでもある五十嵐 久佳 先生(富士通クリニック 頭痛外来担当 / 富士通株式会社 本社産業医)を講師に迎えたイベントを開催。五十嵐先生によるレクチャーに続き、当事者、片頭痛の症状がある部下をもつ社員と五十嵐先生の3名によるパネルディスカッションを行い、片頭痛がある社員の職場での悩みと求められる職場環境への理解を深めました。

五十嵐先生はヘンズツウ部の活動について、「片頭痛の患者さんは、周囲から理解してもらいにくいのですが、日常生活に大きな支障があります。仕事や家庭生活で無理をしたり、できないことや諦めることも多いのが現実です。ヘンズツウ部は、自発的に集まったメンバーがポジティブに片頭痛に向き合って意見を出し、建設的な解決策をみんなで考えていることに感銘を受けました。このような活動が多くの企業で取り入れられることを切に願います。」と述べています。

■実証実験

ワークショップやイベントを通して課題となったのが、社内における「片頭痛への理解促進」と「休みやすい職場づくり」の2つ。そしてこの観点から実証実験を行いました。ヘンズツウ部メンバーの企画で、社内で片頭痛に関する啓発キャンペーンを実施したほか、片頭痛発作時に休みやすい場所や片頭痛発作を誘発しづらい場所を示した地図を作成。社員からは「体調が悪くても無理をしてしまい、逆にミスをしたり、効率を下げたりしていることに気づいた。誰にでも体調が悪いことはある。そんな時は思い切って少し休憩したり仕事を調整することも大切。」といった感想があがりました。

社外にも展開

日本イーライリリーでは、片頭痛を抱える患者さんと、隣で寄り添う人を表現したロゴを作成。片頭痛への正しい理解を広げ、片頭痛の人が働きやすい職場づくりを目指したこの活動を社外にも展開していきます。
今後、片頭痛の方が働きやすくなる職場の工夫を発信するほか、活動のノウハウを他の企業にも紹介していきます。

片頭痛とは

片頭痛に特有の症状や有病率などを知ることができるシンプルなアニメーション(約1分)

片頭痛は、ある時突然に頭痛の発作が出たり、発作を繰り返したりすることを特徴とする神経学的な疾患のひとつです。日本人女性の有病率は12.9%(男性の約3.76倍)に上り(※1)、特に、仕事や育児に多忙であることが想定される30~40代の女性に多いとされています。頭の片側もしくは両側に心臓の拍動に合わせてズキズキするような痛みを示し、悪心・嘔吐や光過敏、音過敏などの症状を伴うこともあり、アルコール摂取、睡眠不足、ストレス、刺激、においなどに誘発されやすいともいわれています。

片頭痛をもつ働き世代女性の家庭と職場

片頭痛をもつある女性の日常生活をドラマで表現(約10分)

疾患によって生じる生産性の低下として、欠勤(アブセンティズム)と、出勤していても心身の状態が悪く、職務能力が著しく低下し、それによって生じる種々の影響(プレゼンティズム)があげられます。アブセンティズムが日本全体に与える経済的損失としては「京都頭痛宣言」(※3)の中で、男性786億円・女性2,092億円、合計2,878億円との試算結果が発表されています。試算時にはまだプレゼンティズムによる損失は考慮されておらず、また試算当時と比べて女性の社会進出がより進んでいる点を考慮すると、経済的損失はさらに拡大していると予想されます。

女性の社会進出が進む中、経済的損失のみならず、働くことを通した自己実現の観点からも、片頭痛による機会損失は課題の一つと考えられます。

監修:埼玉国際頭痛センター センター長 坂井文彦 先生

※1 Sakai, F. et al. “Prevalence of migraine in Japan: A nationwide survey.” Cephalalgia. vol.17, 1997, p15-22.
※2 GBD 2016 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators:
Lancet 2017; 390: 1211-59
※3 一般社団法人日本頭痛学会「京都頭痛宣言」

勝島 晴美 様

JPAC:頭痛医療を促進する患者と医療従事者の会 当事者

30年以上もの長い間、片頭痛に苦しんできました。この病気は世の中の人に理解されにくいため、痛みがあっても辛いと言えず我慢をする日々でした。人知れず片頭痛に苦しんでいる人たちを理解し、優しい言葉をかける、そんな社会になってほしいと思います。

坂井 文彦 先生

一般社団法人 日本頭痛学会 顧問
埼玉国際頭痛センター センター長

片頭痛が病気で、治療すべきことが知られていません。「ただの頭痛」と我慢し鎮痛薬を飲むだけで病院も受診しない人がほとんどでしたが、片頭痛により仕事の効率が低下しないよう努力する企業が増え始めました。病院でも頭痛教室・カフェを通じ頭痛に悩む人の声を社会に届ける活動も大きくなっています。

平田 幸一 先生

一般社団法人 日本頭痛学会 代表理事
JPAC:頭痛医療を促進する患者と医療従事者の会 担当理事
獨協医科大学病院 病院長

日本頭痛学会から申し上げますと、頭痛患者さんに少しでもお役に立てるよう、良質な医師を育成するための教育セミナーのみならず、頭痛診療のマスターを育成する活動(HMSJ)も行っております。また、患者さん中心の頭痛医療を推進するための活動(JPAC)についても坂井文彦顧問のご指導のもと事業が進んでおります。頭痛患者さんの悩みが解消されるよう会員一同更なる努力をしてゆく所存です。

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