共に乾癬と向き合い歩む、患者さんと先生の物語

【Vol.6】 状況に応じて柔軟に付き合っていこう。信頼できる先生や仲間と、乾癬を温かく見守る社会を目指して

16~17年前に乾癬を発症し、さまざまな困難に直面しながらも、その時々の状況に応じて柔軟に乾癬と向き合ってきた奥瀬さん。そこには、いつも一緒に考えながら寄り添い続けてくれた先生がいた。乾癬をもっと広く社会に知ってもらうことが、乾癬患者さんの孤独や苦しみの解消につながると信じ、啓発活動にも積極的に取り組んでいる。そんな奥瀬さんの熱い想いと、医師との絆のストーリーを紹介する。

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治療により症状が改善するも、別の病気により治療を中断

奥瀬さんが乾癬を発症したのは16~17年前。治りにくい病気であることはなんとなく理解していたが、予想以上に難しい病気だと感じたという。
「診断時に医師からも治りにくいとは言われましたが、きちんと治療をすればよくなるだろうと想像していたのです。でも、処方された薬を塗ってもなかなかよくならないどころか、徐々に体のあちこちに広がっていきました」(奥瀬さん)

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横浜市立大学附属病院皮膚科の渡邉裕子先生は、奥瀬さんのように、症状が改善した後に患者さんが話す言葉に気づかされることも多いと話す。
「乾癬患者さんは、日常生活のさまざまな場面、こまごまとしたことで困ることが多くあると思います。でも、困っていることを診察のときに話してくれる患者さんは少ない。ですから、医師が一歩踏み込んで患者さんの困っていることをすくい上げる気持ちを持つことが大切だと考えています」(渡邉先生)
「このまま治療を続けていけばいい」と安心していた奥瀬さん。しかし、別の病気が見つかり、乾癬の治療を中断せざるを得なくなる。そして、治療をやめると再び乾癬の症状が現れた。
「予想はしていましたが、やはりショックでした。最初のときより、一度よくなった後にまた悪くなったときのほうが精神的なダメージは大きくて、つらかったですね」(奥瀬さん)

患者さんと医師だけではなく“チーム”で乾癬と向き合う

心身共につらい時期が続いたが、苦しいときも奥瀬さんは常に自身の希望を率直に医師に話し、医師も奥瀬さんの気持ちを十分に理解し、いっしょに考えて治療を提案してくれた。皮膚科の主治医だけでなく、別の病気をみてくれる診療科の医師も含め、「みんなで考えてくれている」と感じたと話す。
「先生はいつも『どうしたい?』と聞いてくれたので、自分の想いを素直に話すことができ、安心できました。なかなかよくならなくても、先生がなんとか良くしようとその時にできる最良のことを考えてくれていると感じて、信頼できた。だから、つらくても治療をやめようとは一度も考えませんでした」(奥瀬さん)
病気の治療を終えてから4年後、奥瀬さんは乾癬の新たな治療を再開し、現在では症状が落ち着いている。「患者が求めることは十人十色」と言う奥瀬さん。自身がどうしたいかわかるまでに時間がかかる人もいる。自分のように治療中に予期せぬことが起こることもある。長くつきあう病気だからこそ、その時々の自分の気持ちを、その都度医師に伝え、相談していければと考えている。
渡邉先生は「乾癬の治療に向き合うのは主治医と患者さんの二人だけではない」と話す。「病気について悩んだときは、皮膚科の他の医師や、患者さんに他の疾患がある場合にはその診療科の先生に相談する方法もあります。そうやって、他の皮膚科医や看護師、必要なら他科の先生方や患者さんのご家族など周囲も巻き込んで、みんなでチームとして乾癬と向き合っていけたらいいですね」(渡邉先生)

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社会に広く乾癬を知ってもらうために情報を発信し続けたい

ある時、奥瀬さんは主治医に勧められて乾癬の患者会が主催する勉強会に参加し、衝撃を受ける。 「私はそれまで自分以外の乾癬患者と会ったことがなかったのですが、そこには多くの患者がいて、『こんなにいるんだ!』と。それに、同じ患者同士だからでしょうが、皆さんとてもおおらかで、隠すことなく何でも話していたので驚きました」(奥瀬さん)
そして、「こういう環境が患者には必要なのでは」と思い、自らも患者会「神奈川乾癬友の会」を立ち上げる。患者会の活動を通し、奥瀬さんは、同じ病気の患者さんと関わりを持ちたいと考える人、病気や治療の正しい情報を求める人は多いと感じたという。その言葉に渡邉先生も同意する。
「正確な情報が届いていない方や患者会があることを知らない方も、まだたくさんいらっしゃいます。乾癬治療の選択肢は増えていること、患者さんのための場所があることなどを、できるだけ多くの方に知っていただきたいですね」(渡邉先生)
また、奥瀬さんは、患者さんに情報を発信するだけでなく「社会の人々にもっと乾癬を知ってもらいたい」とも考えた。日本ではまだ乾癬という病気の認知度は低く、そのために周囲の理解を得られず一人で悩み苦しむ患者さんも多い。そこで、乾癬の社会における認知度向上を目指し、乾癬啓発普及協会「INSPIRE JAPAN WPD」を設立。動画や市民公開講座などによる情報発信のほか、毎年、世界乾癬デーに合わせて東京タワーでのイベントやキャンペーンなどを実施している。
「『INSPIRE』には、『鼓舞する』という意味もあり、患者さんを元気づけたいという想いも込めています。時間はかかるでしょうが、少しずつでも乾癬という病気への理解を社会に広めていきたい。それが、患者さんが乾癬と共に明るい気持ちで生きていけることにつながると思うから。これからも取り組みを続けていきたいと考えています」(奥瀬さん)

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【Vol.4】ひとり一人に個性があるように、乾癬との付き合い方もそれぞれでいい。自分がどうしたいかを伝え、「私らしい乾癬との付き合い方」を見つけられたら、きっと、日々の生活はもっと充実する。

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